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店社安全衛生管理者が要る現場|20人の境目と月1回の巡視

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安全ドリル+の教材より

店社安全衛生管理者の選任が必要になる工事の規模と「20人」の数え方、資格要件と巡視の記録を、安衛法と安衛則の条文にもとづいて整理する。

統括安全衛生責任者の選任基準(原則50人以上)には届かないが、決して小規模とは言えない現場がある。こうした中規模の現場向けに設けられているのが、店社安全衛生管理者という制度である。名前を聞いたことはあっても、対象になる規模や巡視の実務まで正確に説明できる担当者は多くない。

本稿では、店社安全衛生管理者の選任が必要になる工事、「20人」の数え方、資格要件と巡視の実務を整理する。

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店社安全衛生管理者とは

店社安全衛生管理者とは、統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者を選任するほどの規模には至らない、一定規模以上の建設現場において、店社(本店・支店等)の側から選任され、現場の巡視や指導を行う担当者をいう。安衛法第15条の3は、この制度を定めている(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生法)。

統括安全衛生責任者は現場に常駐する形で選任されるのに対し、店社安全衛生管理者は現場に常駐せず、店社に所属しながら定期的に現場を巡視する立場である点が大きく異なる。現場に常駐する専任者を置くほどの規模ではないが、安全衛生管理を店社の側から支える必要がある、という中間的な位置づけの制度と理解するとよい。

対象になる工事と規模

対象になる規模は安衛則第18条の6が定めている(施行令ではない)。統括安全衛生責任者を選任すべき規模(原則50人以上、トンネル工事等は30人以上)には届かないものの、それより一段小さい規模の工事が対象になる。具体的には、ずい道等の建設・橋梁工事・圧気工法による工事と、主要構造部が鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設工事では常時20人、それ以外の仕事では常時50人が基準になる(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。

つまり、統括安全衛生責任者の選任基準を下回る規模の現場すべてが対象外というわけではなく、「20人以上」という別の下限を超えていれば、店社安全衛生管理者の選任義務が生じる。20人未満の小規模な現場では、この制度も対象外になる。

「20人」の数え方

店社安全衛生管理者の対象規模を判断する「20人」も、統括安全衛生責任者の「50人」と同じ考え方で数える。つまり、元請の自社の労働者だけでなく、その現場で作業する下請を含めた全労働者数を基準にする。

自社の常用社員の人数だけで「うちは20人に届かないから対象外」と判断してしまう誤りが起きやすい点は、統括安全衛生責任者の場合と共通している。詳しい数え方の考え方は、統括安全衛生責任者は誰が選任するかであわせて確認できる。工事の進捗で人数が変動する現場では、工程の節目ごとに人数見込みを見直す必要がある。

資格要件

店社安全衛生管理者には、元方安全衛生管理者と同様に、学歴と建設工事の安全衛生実務経験年数を組み合わせた要件が安衛則で定められている。理科系の大学・高等専門学校卒業者は実務経験3年以上、理科系の高等学校卒業者は実務経験5年以上、それ以外はより長期の実務経験が求められる構成になっている。

店社安全衛生管理者は現場に常駐しないため、店社に所属しながら複数の現場を巡視で担当する運用が一般的である。1人が担当できる現場数について明確な上限は定められていないが、月1回以上の巡視を確実にこなせる範囲にとどめる必要がある。

担当する現場が遠方に分散している会社では、移動時間そのものが巡視の頻度を圧迫しやすい。店社安全衛生管理者を選任する際は、資格要件を満たすかどうかに加えて、実際に毎月の巡視をこなせる担当エリアかどうかも、あわせて検討しておく必要がある。担当エリアを広げすぎた結果、巡視の間隔が延びてしまう事態は避けたい。

月1回の巡視で何を見るか

店社安全衛生管理者の主要な職務は、少なくとも毎月1回以上、担当する現場を巡視することである。巡視では、作業間の連絡調整の状況、作業場所の安全確保の状況、協議組織の運営状況などを確認し、必要に応じて現場の統括的な立場にある者に対して指導を行う。

現場に常駐しない立場だからこそ、巡視の際にどれだけ実態を把握できるかが問われる。事前に協議組織の議事録や作業間の連絡調整の記録に目を通しておき、巡視当日は現物を確認する、という組み合わせが実効性を高める。安全パトロールの視点や記録の残し方は、安全パトロールで何を見るかであわせて確認できる。

巡視の記録に何を書くか

巡視を行ったら、巡視した年月日、担当した現場、確認した内容、指導した事項を記録に残す。この記録は、店社安全衛生管理者としての職務を果たしたことを後から示す材料になる。

記録が「巡視した」という事実だけにとどまり、何を確認し何を指導したかが書かれていないと、翌月以降の巡視で前回の指摘がどう改善されたかを追跡できない。月ごとの記録を単発で終わらせず、前月の指摘事項の改善状況を確認する欄を設けるなど、継続的に見返せる形にしておくことが望ましい。

記録の保管期間について明文の定めはないが、工事期間中はもちろん、工事完了後も一定期間は保管しておくことが望ましい。労働災害が発生した際の原因調査や、労働基準監督署の臨検で提示を求められる場面を想定すると、現場ごとにまとめて保管しておく運用が現実的である。

統括を置く現場との関係

工事の進捗によって現場の労働者数が増え、統括安全衛生責任者の選任基準(50人以上)に達した場合、店社安全衛生管理者から統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者の体制へ切り替える必要が生じる。逆に、当初は50人以上を見込んでいた現場が、工程の見直しで統括安全衛生責任者の選任基準に達しない規模にとどまることが判明した場合は、店社安全衛生管理者による体制で足りることがある。どちらに当たるかは工事の種類によって変わるため、境目に近い現場では所轄の労働基準監督署に確認してほしい。

いずれの場合も、人数の見込みが変わった時点で体制の見直しが必要になるため、工程会議のたびに人数見込みを確認し、必要な体制と実際の体制がずれていないかを点検する運用が実務では有効である。体制の切り替えを後回しにすると、本来必要な選任が抜けたまま工事が進んでしまう危険がある。体制全体の整理は、安全衛生管理体制を1枚の図にするで扱う。日々の教育記録を積み上げる基本的な考え方は、毎日のKY活動を記録に変えるを参照してほしい。

選任規模と根拠条文を1枚にまとめた早見表をPDFで用意している。 登録は要らない。安全衛生管理体制の早見表(PDF) からそのまま落とせる。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。


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よくある質問

Q. 店社安全衛生管理者は現場に常駐しなくてよいのですか

制度上、常駐は求められておらず、月1回以上の巡視を行う立場として設計されている。統括安全衛生責任者のように現場に常駐する専任者とは、この点で位置づけが異なる。

Q. 1人の店社安全衛生管理者が複数の現場を担当してもよいですか

明確な上限を定める規定はないが、各現場で月1回以上の巡視を確実に行えることが前提になる。担当現場数が増えすぎて巡視が形式的になっていないか、店社の側で定期的に確認する必要がある。

Q. 工事途中で人数が増減した場合、体制はどう見直せばよいですか

人数見込みが変わった時点で、統括安全衛生責任者を要する体制か、店社安全衛生管理者で足りる体制かを再確認する必要がある。工程会議など人数を見直す機会にあわせて点検するとよい。

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