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統括安全衛生責任者とは|選任が必要な現場と50人の数え方

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安全ドリル+の教材より

統括安全衛生責任者の選任が必要になる現場の規模、「50人」の数え方、選任できる人の要件と職務を、安衛法と施行令の条文にもとづいて整理する。

「うちの現場、統括安全衛生責任者は要るのか」——元請の担当者になって最初にぶつかる疑問の1つがこれである。人数の境目も、誰を数えるかも、条文だけを読んで即答できる担当者は多くない。

本稿では、統括安全衛生責任者の選任が必要になる条件、「50人」の数え方、選任できる人の要件と職務を、労働安全衛生法(以下、安衛法)と労働安全衛生法施行令(以下、施行令)の条文に沿って整理する。

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統括安全衛生責任者とは

統括安全衛生責任者とは、建設業などで元請と下請の労働者が同じ場所で作業する現場において、労働災害を防止するための措置を統括管理する立場の者をいう。安衛法第15条は、元方事業者に対し、一定の規模以上の現場でこの者を選任し、元方安全衛生管理者を指揮させることを求めている(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生法)。

統括安全衛生責任者が担うのは、安衛法第30条第1項が定める協議組織の設置・運営、作業間の連絡調整、作業場所の巡視といった措置を、現場全体として統括する役割である。個々の措置を実行するのは元方安全衛生管理者や各下請の安全衛生責任者だが、それらを束ねて指揮する立場が統括安全衛生責任者になる。

選任が必要になる現場の規模

選任が必要になる規模を定めているのは安衛法ではなく、施行令である。施行令第7条は、次のように現場の種類ごとに人数の境目を分けている。

仕事の種類選任が必要になる人数
ずい道等の建設、一定規模以上の橋梁工事、圧気工法による作業を行う仕事常時30人以上
上記以外の建設業の仕事常時50人以上
造船業常時50人以上

(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生法施行令

一般的な建築工事や土木工事の多くは「50人以上」の区分に当たるが、トンネル工事や圧気工法を伴う工事は、より少ない30人でも選任義務が生じる点に注意が要る。工事の種類によって境目が変わることを、着工前の体制検討の段階で確認しておく必要がある。

「50人」は誰を数えるのか

ここが最も誤解されやすい点である。統括安全衛生責任者の選任基準となる人数は、元請の自社の労働者だけではなく、下請を含めてその現場で働く全ての労働者数で数える。

安衛法第15条は「その労働者及び当該仕事を行う関係請負人の労働者」を対象として規定しており、元請と全ての次数の下請の労働者を合算した数が判断基準になる。自社の社員が10人しかいない現場でも、下請の作業員を合わせて50人を超えれば選任義務が生じる。逆に、自社が大企業であっても、その現場に入る総人数が基準に満たなければ義務は生じない。

「自社の常用社員数」で判断してしまう誤りが実務では少なくない。選任の要否を判断する際は、必ず現場に入る全労働者数(元請+一次下請+二次下請以降を含む)を基準にする。

数え方の実務では、常時作業に従事する人数を基準にするため、その日たまたま応援で入った作業員1人だけを理由に判断が揺れるわけではない。工程の中で継続的に何人が現場に入るかという見込みで捉える必要がある。新規入場者が入れ替わる現場では、朝の時点での在場人数だけでなく、その工程区間を通じた延べの体制規模で判断する運用が実務に近い。

選任できる人の要件

統括安全衛生責任者そのものについて、学歴や実務経験年数といった明文の資格要件は安衛法上定められていない。実務上は、その現場の工事全体を掌握し、統括管理する権限を持つ立場の者——多くの場合は元請の現場所長やこれに準ずる者——が選任される。

これに対し、統括安全衛生責任者の指揮を受けて実務を担う元方安全衛生管理者には、学歴と実務経験年数を組み合わせた資格要件が安衛則で定められている。統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者の役割の違いは、元方安全衛生管理者の資格と職務で整理する。

職務として何をするか

統括安全衛生責任者の職務は、元方安全衛生管理者を指揮することと、安衛法第30条第1項各号に定める措置を統括管理することの2本立てである。具体的には、協議組織(安全衛生協議会など)の設置・運営、作業間の連絡調整、作業場所の巡視、下請が行う安全衛生教育への指導・援助、工程・機械配置の計画作成などが含まれる。

これらの措置を、元方安全衛生管理者に日々の実務として担わせつつ、現場全体としての実施状況を最終的に統括する立場が統括安全衛生責任者である。協議組織の運営そのものについては、安全衛生協議会の議事録は何を残すかで扱っている。

選任しなかった場合

選任が必要な規模の現場で統括安全衛生責任者を選任しない場合、安衛法に基づく罰則の対象となり得る。また、労働災害が発生した際には、体制の不備として労働基準監督署の調査で厳しく確認される点でもある。

選任義務の有無は工事着手前に判断できる事項であるため、「気づいたら要件を満たしていた」という事態を避けるためにも、着工前の体制検討の段階で人数見込みを確認しておくことが望ましい。

現場での実務

統括安全衛生責任者を選任したら、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ届け出るとともに、現場に掲示するなどして関係者に周知する運用が一般的である。人が交代した場合も同様の手続きが必要になる。

複数の現場を掛け持ちする所長が統括安全衛生責任者を兼任する場合、それぞれの現場で求められる巡視や協議組織への出席を、実際にどう時間配分するかが課題になりやすい。名目上の選任にとどまらず、職務を実質的に果たせる体制を組めるかどうかを、選任の段階で検討しておく必要がある。

現場が変わるたびに統括安全衛生責任者の氏名を掲示し直す運用も欠かせない。掲示板の情報が更新されないまま人が交代していると、下請の作業員や監督署の担当者が現場を訪れた際に、実態と掲示が食い違う状態になる。体制図と現場掲示は常に一致させておく。

体制全体の整理は、安全衛生管理体制を1枚の図にするで扱う。日々の教育記録を積み上げる基本的な考え方は、毎日のKY活動を記録に変えるを参照してほしい。

選任が要る規模と根拠条文を1枚にまとめた早見表をPDFで用意している。 登録は要らない。安全衛生管理体制の早見表(PDF) からそのまま落とせる。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。


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よくある質問

Q. 統括安全衛生責任者の「50人」に一人親方は含まれますか

一人親方は労働者に該当しないため、原則として人数のカウント対象には含まれない。ただし現場に入る作業員の雇用形態が実態として労働者性を帯びる場合もあるため、判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認するのが望ましい。人数の境目に近い現場ほど、この点を曖昧にしないことが重要になる。

Q. 統括安全衛生責任者と現場代理人は兼任できますか

法令上、兼任を禁じる規定はない。実務上も、現場代理人が統括安全衛生責任者を兼ねる例は多い。ただし職務を実質的に果たせるだけの時間と権限があることが前提になる。

Q. 工事の途中で労働者数が50人を超えた場合はどうなりますか

着工時点で50人未満でも、工事の進捗により現場の労働者数が基準を超える見込みが生じた時点で、選任の要否を再確認する必要がある。人数の増減は工程の節目でこまめに確認するとよい。

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