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建設現場の挟まれ・巻き込まれ|重機と人を分ける3つの線引き

約7分で読めます 安全ドリル+編集部
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共通の現場で起きる巻き込まれの場面(安全ドリル+の教材より)
共通 巻き込まれ 安全ドリル+の教材より

建設業で多発する挟まれ・巻き込まれ災害を、場所・時間・合図という3つの線引きから防ぐ考え方を整理しました。

建設現場で起きる災害のうち、「挟まれ・巻き込まれ」は毎年高い割合を占め続けています。厚生労働省が公表した令和7年の労働災害発生状況(確定値)によると、建設業における「はさまれ・巻き込まれ」による休業4日以上の死傷者数は1,496人に上ります(出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定)」)。この記事では、重機と人を分けるための3つの線引きという視点から、繰り返し起きる場面を整理します。

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建設業の挟まれ・巻き込まれはどこで起きているか

挟まれ・巻き込まれは、重機の旋回範囲、フォークリフトの通路、型枠パネルの建て起こし、揚重中の資材と壁の隙間など、現場のあらゆる場面で起きます。共通しているのは、動くもの(重機・資材・車両)と、動かない・逃げ場のないもの(壁・積荷・地面)の間に、人が入り込んでいるという構図です。

バックホウが旋回するとき、機体の後ろは運転者から見えない死角になります。この死角と壁やブロックの間に人が立つと、逃げ場のない隙間に体を寄せる以外の選択肢がなくなります。フォークリフトが後退するときも同様で、運転者が前を向いたまま下がると、後方にいる人には気づけません。型枠パネルの建て起こしでは、パネルの下端が作業者のつま先に乗る場面が繰り返し見られます。いずれも、動くものの範囲を人が正しく認識できていないことが原因です。

揚重作業でも同じ構図が現れます。つり上げた型枠パネルと壁の隙間に、薄い手袋のまま指を入れて押さえようとする場面では、荷が振れた瞬間に隙間が狭まり、指を挟みます。荷は手で止められるものではなく、誘導ロープと当て木で外から操作する必要があります。動くものを手で押さえて止めようとする判断は、業種や作業内容が変わっても、挟まれ災害の共通した引き金になっています。

これらの場面に共通する型を整理すると、次のようになります。

作業動くもの逃げ場のないもの
重機の旋回カウンターウェイト壁・ブロック塀
フォークリフトの後退車体・カウンターウェイト積荷・壁
型枠の建て起こしパネルの下端床・作業者の足
揚重中のパネルつり荷壁との隙間

作業の種類は違っても、動くものと逃げ場のないものの間に人が入るという構図は共通しています。この共通点に気づくと、現場ごとに個別の対策を一から考えるのではなく、同じ視点で点検できるようになります。

線引き①:場所で分ける(立入禁止区域)

最初の線引きは、場所そのものを分けることです。重機の旋回範囲、車両の通路、揚重中の資材の下は、あらかじめ立入禁止の区域として囲い、表示します。

労働安全衛生規則第158条は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより危険が生ずるおそれのある箇所への立入りを、表示その他の方法により禁止しなければならないと定めています。ただし、誘導者を配置してその者に誘導させるときはこの限りでないとも定められています(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。つまり、立入禁止という原則と、誘導者による例外という2つの選択肢があるということです。囲いだけを設けて満足するのではなく、実際にその区域へ人が近づいていないかを、作業中も確認し続ける必要があります。

現場で実際に見られる場面では、バリケードテープとコーンが用意されているのに、まとめて端に置かれたまま使われていないことがあります。用意しただけでは意味がなく、作業を始める前に張ってから動かすという順番を徹底しなければ、区域を分ける効果は生まれません。

線引き②:時間で分ける(同時作業をやめる)

場所を分けきれない場面では、時間を分けるという発想が必要です。重機の周辺で別の作業員が資材を運ぶ必要がある場合、重機を止めてから人が近づく、あるいは人が離れてから重機を動かすという順番を決めておきます。

同じ場所を同時に使わなければ、挟まれる組み合わせそのものが成立しません。搬入・搬出の時間帯だけ他の作業を止める、重機の旋回中は誰も近づかないという取り決めは、掲示物よりも運用のほうが重要になります。時間で分ける発想は、場所を分けるための柵や表示が用意できない狭い現場ほど、実際の効果が大きくなります。

線引き③:合図で分ける(誘導員と手順)

場所でも時間でも分けきれない場面が、実際の作業には残ります。そこで必要になるのが、誘導員による合図です。誘導員は運転者の目の代わりとして機能し、死角に人がいることに気づいて合図を送ります。

誘導員を配置していても、運転者から見えない位置に立っていては意味がありません。誘導員自身が運転者から見える位置に立ち、かつ自分も重機の旋回範囲の外に出ていることが前提です。窓を閉めた運転席では声が届かないため、声だけに頼らず、手の合図や無線を決めておき、相手の反応で通じたことを確かめる必要があります。手を上げて合図を送るだけでなく、運転者がうなずく、あるいは機械が止まったことを目で見てから、次の一歩を出す習慣が欠かせません。

3つが崩れる瞬間(急ぎ・慣れ・人手不足)

場所・時間・合図という3つの線引きは、どれも単体では崩れやすいという弱点を持ちます。実際に事故につながる場面を見ると、共通して3つの要因が重なっています。

急いでいるときは、囲いを張る手間を惜しんで作業を始めてしまいます。慣れているときは、いつも通っている通路だから大丈夫という思い込みが生まれます。人手が足りないときは、誘導員を専任で置けず、運転者と作業員だけで作業を進めてしまいます。3つの線引きが同時に崩れたときに、重大な災害が起きやすくなります。

線引きが崩れやすい場面を、あらかじめ現場で共有しておくことが対策になります。「今日は人手が足りないから、誘導員なしで重機を動かす」という判断そのものを、その場の個人に委ねず、作業開始前に管理者が確認する仕組みが必要です。

3つの線引きは、どれか1つを強化すれば残り2つを省略してよいという関係ではありません。誘導員を配置していても、立入禁止の表示がなければ、誘導員の目が届かない一瞬に人が入り込む可能性が残ります。3つを同時に満たすことを前提に、日々の作業計画を組む必要があります。

毎日のKYで確認する2点

毎日のKY活動では、抽象的な「気をつけましょう」ではなく、具体的な2点を確認することが実際の行動につながります。1つは、今日の作業で重機や資材が動く範囲がどこかということです。もう1つは、その範囲に誰かが近づく可能性がある作業が、同じ時間帯に予定されていないかということです。

毎日のKY活動をどう記録に変えるかは、毎日のKY活動を記録に変えるを参照してほしい。バックホウの旋回に絞った具体的な線引きは、バックホウの旋回範囲に人を入れないにまとめている。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。

まとめ


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よくある質問

Q. 誘導員はどの作業にも必ず配置しなければなりませんか

労働安全衛生規則第158条は、立入禁止の表示か誘導者の配置のいずれかを求めています。誘導者を配置しない場合は、危険のおそれがある箇所への立入りを表示等で禁止する必要があります。

Q. 立入禁止のテープやコーンを置いておけば、それだけで対策になりますか

置いてあるだけでは対策になりません。作業を始める前に実際に張り、作業中も人が近づいていないかを確認し続ける運用が必要です。

Q. 人手が足りない現場では、誘導員を置かなくてもよいですか

人手が足りないことは、誘導員を省略してよい理由にはなりません。誘導員を置けない場合は、場所か時間のいずれかで確実に分ける方法を検討する必要があります。

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