「うちの現場で転倒なんて滅多に起きない」。多くの安全担当者がそう感じています。
しかし統計を見ると、印象と実態はずれています。転倒は労働災害の型別で、全産業を通じて最も多い型です。
この記事では、転倒災害が最多になっている理由と、製造業の現場で今日から使える対策を整理します。
転倒対策の効果は、器具や設備よりも「毎日その場所を意識できたか」で決まります。安全ドリル+は現場のQRを読むだけで、朝礼前に転倒リスクを再確認する10秒動画を流せます。
安全ドリル+を1問だけ試す · 10秒の映像 → 3択
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この映像の どこが 危ない?
通路の資材とコードによる転倒
通路は 物を 置く 場所ではない。使ったら その日の うちに かたづける。ほかの 2つも 現場では 危ないが、この 映像に 写っているのは 床の ほうだ。
転倒災害とは
転倒災害とは、同一の平面上でつまずいたり滑ったりして転ぶ災害である。
高所から落ちる墜落・転落とは区別されます。労働災害統計でも別の型として集計されます。
厚生労働省が公表した「令和6年における労働災害発生状況(確定値)」があります。それによると、令和6年の転倒による休業4日以上の死傷者数は36,378人でした。前年の令和5年は36,058人で、0.9%増えています(厚生労働省、令和7年5月公表、別表4)。
全産業で最多、製造業でも上位を占める
転倒が最多とは、事故の型別集計の中で、転倒の件数が突出して多いことを指す。
同じ統計で2位の「動作の反動・無理な動作」は22,218人、3位の「墜落・転落」は20,699人でした。転倒は2位のおよそ1.6倍にあたります。
休業4日以上の死傷者数は全産業で135,718人(令和6年)と、4年連続で増加しています。転倒はこのうち4分の1超を占めます。
製造業に限ると、順位は変わります。令和6年の製造業における事故の型別死傷者数を見ると、1位は「はさまれ・巻き込まれ」で6,114人でした。2位が転倒で5,656人でした(同資料、別表4)。製造業では転倒は最多ではなく2位ですが、突出した多さであることに変わりはありません。全産業の合計を押し上げているのは、製造業を含む幅広い業種で同じように転倒が起きているためです。
なぜ減らないのか(高齢化と慣れ)
転倒が減らない理由の中心は、労働力人口の高齢化と、日々の作業への慣れである。
厚生労働省の統計では、令和6年の休業4日以上の死傷者13万5,718人のうち、60歳以上が4万654人を占めます。割合はおよそ3割です(同資料、別表7から算出)。製造業に限っても、60歳以上は死傷者2万6,676人のうち6,262人で、およそ4人に1人にあたります。
高齢になるほど、つまずいたときの回復力や踏ん張る力が落ちます。若年層なら転ばずに済む場面で、転倒してしまう傾向があります。
こうした状況を受け、2026年4月には改正労働安全衛生法が施行されました。60歳以上の高年齢労働者に対する労働災害防止措置が、事業者の努力義務として明文化されています。
もう一つの要因が「慣れ」です。毎日同じ通路を歩いていると、段差や障害物への注意が薄れます。新人より、その現場に長くいる人のほうが油断による転倒を起こしやすいという指摘もあります。
高齢化の影響は、性別によっても差があります。労働政策関連の報道によると、60歳以上の女性における転倒による骨折等は、20歳代のおよそ19.5倍にのぼるとされています。エイジフレンドリーガイドライン関連の分析に基づく数値です(出典:日経BP、2026年時点)。骨密度の低下が背景にあるとみられ、同じつまずきでも結果の重さが年代によって大きく異なることを示しています。
転ぶ場所は決まっている
転ぶ場所とは、統計的に転倒が繰り返し発生している、通路・床・段差など限られた地点を指す。
現場で転倒が起きやすい場所には、共通する傾向があります。
| 場所・状況 | 主な原因 |
|---|---|
| 通路 | 資材・工具の放置、ケーブル類の露出 |
| 床面 | 油や水のこぼれ、粉じんの堆積 |
| 段差・スロープ | 照度不足、床材の色分けがない |
| 階段 | 手すりを使わない、両手がふさがった昇降 |
| 屋外・駐車場 | 凍結、雨天後に濡れた金属床板 |
これらの場所は、あらかじめ分かっている危険源です。突発的に起きる災害というより、放置されたリスクが顕在化した結果であるケースが大半を占めます。
共通するのは、いずれも「毎日同じ場所を通る」という点です。一度も指摘されないまま放置された段差や、こぼれたままの油は、次第に景色の一部になります。定期的な巡視で新しい目を入れることが、慣れによる見落としを防ぐ手段になります。
4Sが続かない理由
4Sが続かないとは、整理・整頓・清掃・清潔の活動が一時的な取り組みで終わり、日常の状態に戻ってしまうことを指す。
多くの現場が4S活動を導入しています。それでも定着しない背景には、共通点があります。
- 活動が「特定の日の一斉清掃」になっており、日常業務に組み込まれていない
- 誰が何を維持するのか、担当が明確でない
- チェックする仕組みがなく、崩れても誰も気づかない
4Sは一度整えて終わりではなく、毎日の点検とセットで初めて機能します。点検の手間が大きいと、次第に省略されるようになります。
とくに製造業の現場では、生産設備の更新や工程変更のたびに、動線や仮置き場所が変わります。整理・整頓のルールを一度決めても、レイアウトの変化に追いついていない現場は少なくありません。定期的にルールそのものを見直す機会がないと、実態と規則がずれたまま放置されます。
通路を空ける仕組み
通路を空ける仕組みとは、資材や工具が通路に置かれた状態を、個人の意識ではなく運用ルールで防ぐ工夫を指す。
有効とされる工夫には、次のようなものがあります。
- 通路の幅を床にテープで明示し、はみ出しを一目で分かるようにする
- 資材の仮置き場所をあらかじめ決め、通路に置く選択肢自体をなくす
- 作業終了時の片付けを、その日の作業の一部として工程表に組み込む
「片付けてください」という呼びかけだけでは長続きしません。片付けざるを得ない配置にするほうが効果は続きます。
休業日数が長い現実
休業日数が長い現実とは、転倒による休業が、他の災害と比べて軽視できない期間に及ぶことを指す。
厚生労働省の統計では、令和6年の転倒による平均休業見込日数は47.5日でした。骨折を伴うケースが多いことが背景にあります。
高年齢労働者ほど骨折のリスクが高く、回復にも時間がかかります。「ちょっとつまずいただけ」で済まない場合が少なくないというのが、統計から見える実態です。
毎日の指差しに落とす
毎日の指差しに落とすとは、通路や床の状態確認を、朝礼やKY活動の中で毎日繰り返す小さな行動に変えることを指す。
転倒対策の多くは、通路の整備や4Sのように「環境を整える」対策です。これに加えて、作業員一人ひとりが「今日、自分の足元はどうか」を意識する仕組みが要ります。
安全ドリル+は、この毎日の意識づけを担うために作りました。現場のQRを読むと、10秒の縦型動画が5本流れ、それぞれ危険を探して3択に答えます。当日の工種を選ぶと、1本目がその工種に合わせた内容になります。最後の1問だけが氏名・所属会社つきの記名テストとして記録に残り、CSVとPDFで出力できます。朝礼前の1分半で、転倒リスクの再確認と教育記録の作成が同時に終わる形です。
なお、ヒヤリハットの収集は姉妹アプリの安全ポスト+が担う。現場と組織の登録は2つのアプリで共有している。
まとめ
- 転倒は令和6年、休業4日以上の死傷者数36,378人で事故の型別最多です(厚生労働省、令和7年5月公表の確定値)
- 2位の動作の反動・無理な動作のおよそ1.6倍にあたります
- 製造業では、はさまれ・巻き込まれに次ぐ2位ですが、依然として突出した多さです
- 死傷者のおよそ3割を60歳以上が占め、2026年4月には高年齢労働者への防止措置が努力義務化されました
- 平均休業見込日数は47.5日と長く、「軽い災害」とは言い切れません
- 通路・床・段差など、転ぶ場所はあらかじめ分かっています。環境整備と毎日の意識づけを両輪で回すことが対策の要点です
実際の画面を1分半で試す
QRを読むと10秒の映像が5本流れ、最後の1問だけが記名の記録として残ります。 アプリのインストールもログインも要りません。
- 職人が見る画面をそのまま試す
- サービスガイド(PDF) — 導入の流れと記録の様式
- 料金 — 1現場あたりの月額
よくある質問
Q. 転倒と墜落・転落はどう違いますか
転倒は同一の平面上でつまずいたり滑ったりする災害です。墜落・転落は高所や段差から下方向に落ちる災害で、統計上は別の型として集計されます。
Q. 製造業では転倒より、はさまれ・巻き込まれのほうが多いのですか
はい。令和6年の製造業における事故の型別では、はさまれ・巻き込まれが1位、転倒が2位でした。ただし全産業で見ると、転倒が事故の型別で最多です。
Q. 4S活動と転倒対策はどう関係しますか
4Sのうち整理・整頓・清掃は、通路や床にある転倒の原因を直接取り除く活動です。清潔(維持)の仕組みがないと、一度整えても元に戻ってしまいます。
Q. 高年齢労働者への対策は具体的に何をすればよいですか
2026年4月に施行された規定は、作業内容や職場環境を高年齢労働者の身体機能に応じて見直すことを求めています。通路の照度や段差の解消、無理のない作業配分などが該当します。