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手すり先行工法とは|足場の組立・解体時の墜落を減らす工法

約6分で読めます 安全ドリル+編集部
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共通の現場で起きる墜落の場面(安全ドリル+の教材より)
共通 墜落 安全ドリル+の教材より

足場の組立て・解体時に墜落が集中する理由と、手すり先行工法の考え方、点検・作業主任者という義務を整理しました。

手すり先行工法とは、足場を組み立てる際に、労働者が作業床に乗る前に手すりを先に設置し、最上段でも常に外側に手すりがある状態を保ちながら組み立てを進める工法をいいます。足場そのものが完成したあとよりも、組立て・解体の途中の段階で墜落が起きやすいという事情から生まれた工法です。この記事では、足場の組立て・解体時の墜落がなぜ集中するのか、手すり先行工法とあわせて整理します。

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足場の墜落は組立・解体時に多い

完成した足場には手すりや幅木、床材が整った状態で備わっています。しかし、組立ての途中や解体の途中は、この完成形に至る過程であり、手すりがまだ設置されていない、あるいは既に取り外されているという状態が一時的に生まれます。労働者は、この未完成な状態の足場の上で、次の部材を組む・外すという作業を行う必要があります。

労働安全衛生規則第五百六十四条は、つり足場、張出し足場又は高さが2メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業を行うときは、組立て等の時期・範囲・順序を労働者に周知させること、当該区域への関係者以外の立入りを禁止すること、悪天候のため危険が予想されるときは作業を中止すること、足場材の緊結・取り外し等の作業では幅40センチメートル以上の作業床を設けるか墜落制止用器具を使用させる措置を講ずること等を定めています(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。組立て・解体という工程そのものに、通常の足場作業とは別の条文が置かれているのは、この段階の危険性が高いことの表れです。

手すり先行工法とは

手すり先行工法は、足場の組立て時に、作業床に乗る前の段階で手すりを先行して設置する考え方です。作業者が新しい段に上がる前に、その段の外側にはすでに手すりが存在している状態を保つことで、組立ての最中も墜落制止用器具に頼りきらずに済む状態をつくります。

解体時も同様に、手すりを最後まで残し、他の部材を先に外し終えてから手すりを外すという順序を取ります。組立てでは「先につくる」、解体では「最後まで残す」という、手すりの扱いを工程の両端に置く発想が共通しています。

3つの工法の違い

手すり先行工法には、手すり据置方式・手すり先送り方式・手すり専用足場方式という3つの方式があります。手すり据置方式は、あらかじめ設置しておいた手すり用の部材を組み替えながら使う方式です。手すり先送り方式は、次の段の手すりを下の段から先に取り付けてから昇る方式です。手すり専用足場方式は、手すりを兼ねる部材があらかじめ組み込まれた足場そのものを使う方式です。

現場によって、既存の足場材との組み合わせやすさ、作業の頻度によってどの方式が適するかは変わります。導入の際は、その現場で使う足場の種類と、組立て・解体の頻度に応じて方式を選ぶ必要があります。

一側足場と本足場

労働安全衛生規則第五百六十一条の二は、幅が1メートル以上の箇所において足場を使用するときは、本足場を使用しなければならないと定めています。ただし、つり足場を使用するとき、又は障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なときは、この限りでないともされています(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。

一側足場は建地が壁側に1列しかない構造で、本足場に比べて作業床の安定性が低く、組立て・解体時の墜落のリスクも高くなります。手すり先行工法を導入する場合も、足場そのものの構造が一側足場か本足場かによって、組める手すりの位置や強度が変わるため、あわせて確認しておく必要があります。

足場の点検という義務

労働安全衛生規則第五百六十七条は、足場における作業を行うときは、点検者を指名して、その日の作業を開始する前に、足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無について点検させ、異常を認めたときは直ちに補修しなければならないと定めています。強風・大雨・大雪等の悪天候や中震以上の地震、足場の組立て・一部解体・変更の後においても、床材の状態や緊結部の緩みなど複数の項目を点検し、点検の結果と点検者の氏名、補修の内容を記録し保存することを求めています(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。

手すり先行工法を導入していても、日々の点検を省略してよいわけではありません。手すりが正しい手順で設置されたかどうかも、この点検項目の一部として確認する必要があります。

作業主任者の職務

労働安全衛生規則第五百六十五条は、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、足場の組立て等作業主任者を選任しなければならないと定めています。第五百六十六条は、作業主任者に、材料の欠点の有無の点検、器具・工具・墜落制止用器具・保護帽の機能の点検、作業の方法及び労働者の配置の決定と進行状況の監視、墜落制止用器具・保護帽の使用状況の監視を行わせなければならないと定めています(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。

手すり先行工法を導入する現場では、作業主任者がこの工法の手順を理解していることが前提になります。作業員に手順を周知する役割も作業主任者が担うため、工法を導入する際は作業主任者への教育を先に行う必要があります。

導入するときの段取り

手すり先行工法を新たに導入する際は、まず現在使っている足場材が対応しているかを確認し、対応していない場合は専用部材の追加を検討します。次に、作業主任者と組立て・解体に携わる作業員に、3つの方式のうちどれを採用するかとその手順を教育します。最初の数回は、通常より時間がかかることを見込んで工程を組んでおくことも必要です。

導入後は、点検記録の中に手すり先行工法の手順どおりに組まれたかどうかを確認する項目を加えておくと、日常の点検と工法の定着状況の確認を同時に行えます。

足場の特別教育については足場の組立て等の特別教育にまとめている。台風前後の足場点検については台風前後の点検を参照してほしい。毎日のKY活動をどう記録に変えるかは、毎日のKY活動を記録に変えるを参照してほしい。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。

まとめ


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よくある質問

Q. 手すり先行工法はすべての足場工事で必須ですか

労働安全衛生規則は足場の組立て・解体時の墜落防止措置を義務づけていますが、手すり先行工法という特定の工法自体を一律に義務づける条文ではありません。導入の要否は現場の状況に応じて判断し、個別の疑問は所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q. 3つの方式のうち、どれを選べばよいですか

現場で使う足場材の種類や、組立て・解体の頻度によって適した方式は変わります。既存の部材との組み合わせやすさを踏まえて選ぶ必要があります。

Q. 一側足場でも手すり先行工法は導入できますか

一側足場は本足場に比べて構造上の安定性が低く、手すりの取り付け位置や強度の確認がより重要になります。個別の可否は、足場のメーカーや所轄の労働基準監督署にご確認ください。

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