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安全衛生管理体制を1枚の図にする|誰が何を担うかを整理する

約6分で読めます 安全ドリル+編集部
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共通の現場で起きる火災の場面(安全ドリル+の教材より)
安全ドリル+の教材より

統括安全衛生責任者から安全衛生推進者まで、法定の選任と体制を1枚の図に落とし込む方法を、規模ごとの違いと更新のタイミングにあわせて整理する。

統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者、安全管理者、衛生管理者、産業医、作業主任者、安全衛生推進者——ここまで見てきた役職を並べるだけでも、頭が混乱してくる。誰が誰を指揮し、どの規模でどの役職が必要になるのかを、1枚の図として持っている現場は多くない。

本稿では、これまで整理してきた法定の選任と体制を、1枚の体制図にまとめる考え方を整理する。

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体制図が要る理由

体制図とは、現場や事業場における安全衛生に関わる役職と、それぞれの指揮命令の関係を可視化した図をいう。安衛法および安衛法施行令(以下、施行令)は、規模や業種に応じて様々な役職の選任を求めているが、これらは条文上ばらばらに規定されているため、実際の現場でどう組み合わさるのかは、読み手が自分で整理しなければ見えてこない(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生法e-Gov法令検索 労働安全衛生法施行令)。

体制図がないまま現場を運営すると、「この作業は誰の指揮を受けるのか」「連絡調整は誰が担うのか」が曖昧になり、労働災害が発生した際の対応も後手に回りやすい。1枚の図として体制を可視化しておくことは、法令遵守の確認だけでなく、日常の指揮命令を明確にする実務的な効果も持つ。

事業場の体制と現場の体制は別物

体制図を作る際にまず整理すべきは、「事業場」を単位とする体制と、「建設現場」を単位とする体制は別物だという点である。安全管理者・衛生管理者・産業医・安全衛生推進者は、本社や支店といった事業場単位で選任される。対して統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・安全衛生責任者・店社安全衛生管理者は、個々の建設現場を単位に選任される。

この2つの体制は独立して存在しており、事業場の安全管理者が、たまたまある現場で統括安全衛生責任者を兼ねる、ということもあり得る。体制図を作る際は、事業場単位の体制と現場単位の体制を、別々の階層として描き分ける必要がある。事業場単位の体制については安全管理者の選任は50人から衛生管理者の選任と巡視義務産業医は50人から選任を、現場単位の体制については統括安全衛生責任者は誰が選任するかを、それぞれ参照してほしい。

元請・下請をまたぐ指揮系統

現場単位の体制図では、元請と下請の指揮系統をまたぐ関係を描く必要がある。元請側には統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者が置かれ、下請各社にはそれぞれ安全衛生責任者が置かれる。統括安全衛生責任者が元方安全衛生管理者を指揮し、各下請の安全衛生責任者と連絡調整を行う、という構造を図に落とし込むと、誰が誰と連絡を取り合う関係にあるかが一目で分かるようになる。

安全衛生責任者と、下請の作業員を直接指揮する職長との関係も図に含めておくとよい。職長と安全衛生責任者は別の役職だが、実務では同一人物が兼ねることが多いため、体制図上でその兼任関係を明示しておくと、混同を防ぎやすい。安全衛生責任者の詳しい職務は安全衛生責任者は下請が置くで整理している。

規模ごとに変わる体制

体制図は、現場の規模によって形が変わる点も押さえておく必要がある。現場に入る労働者数が50人以上(ずい道等・橋梁・圧気工法の仕事は30人以上)であれば統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者を置く体制になる。統括を要しない規模でも、店社安全衛生管理者の選任義務が別に生じる場合がある。その基準は安衛則第18条の6が定めており、ずい道等・橋梁・圧気工法の仕事と、主要構造部が鉄骨造または鉄骨鉄筋コンクリート造である建築物の建設工事では常時20人、それ以外の仕事では常時50人が境目になる(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。

工事の進捗によって現場の労働者数が変動すれば、体制もそれにあわせて切り替える必要がある。店社安全衛生管理者を置く体制から統括安全衛生責任者を置く体制への切り替えは、店社安全衛生管理者が要る現場で扱っている。あらかじめ体制図をいくつかのパターンで用意しておき、人数の見込みが変わった時点でどの体制図に切り替えるかを判断できるようにしておくと、対応が早くなる。

体制図に書くべき項目

体制図には、各役職の名称、選任されている者の氏名、選任の根拠となる資格、指揮命令の矢印、連絡調整の関係を書き込む。加えて、作業主任者のように「作業」単位で選任される役職については、担当する作業の種類も明記しておく必要がある。作業主任者の選任と掲示については、作業主任者を選任する作業一覧で整理している。

体制図を作るだけで満足せず、実際にその通りの指揮命令が機能しているかを、協議組織の議事録や巡視記録と突き合わせて確認する運用にしておくと、体制図が形骸化しにくくなる。

人が変わったときの更新

体制図の最大の弱点は、人が交代するたびに更新が必要になる点である。統括安全衛生責任者や安全衛生責任者が交代した場合、体制図だけでなく、現場の掲示物や関係者への周知もあわせて更新する必要がある。

更新が滞ると、体制図上は選任されているはずの者が実際には現場を離れている、という状態になりかねない。新規入場者が多い現場や、工期が長く人の入れ替わりが多い現場ほど、体制図の更新を誰がいつ行うかを、あらかじめ決めておく必要がある。監督署の臨検で問われる書類全般については、労働基準監督署の臨検で見られる書類であわせて確認できる。

監督署に見せる場面

体制図は、労働基準監督署の臨検で提示を求められる代表的な書類の1つである。安全衛生を所管する部門が体制図を用意していない現場では、口頭での説明に頼らざるを得ず、説明に一貫性を欠く事態になりやすい。

グリーンファイルと呼ばれる書類一式に、体制図をあわせて綴じておく運用も広く行われている。グリーンファイルの構成については、グリーンファイルの安全書類で整理している。日々のKY活動を記録として積み上げる基本的な考え方は、毎日のKY活動を記録に変えるで扱っている。

この記事の内容を1枚にした早見表をPDFで用意している。 登録は要らない。安全衛生管理体制の早見表(PDF) からそのまま落とせる。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。


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よくある質問

Q. 体制図の様式に決まった書式はありますか

法令上、統一の様式が定められているわけではない。現場の規模や関係者の数に応じて、指揮命令の関係が分かりやすい形にまとめれば足りる。ただし監督署への提示を想定し、役職名・氏名・資格の根拠は必ず書き込んでおく必要がある。

Q. 体制図は誰が作成・更新する責任を負いますか

明文の規定はないが、現場全体を統括する立場である統括安全衛生責任者、あるいはその指揮を受ける元方安全衛生管理者が作成・更新を担う運用が一般的である。事業場単位の体制図は、安全管理者や総務部門が管理する例が多い。

Q. 小規模な現場でも体制図は必要ですか

統括安全衛生責任者などの選任義務がない小規模な現場であっても、誰が現場の安全衛生を担うかを明確にしておくことは有益である。安全衛生推進者を選任する事業場であれば、その氏名と職務範囲を書き込んだ簡易な体制図を用意しておくとよい。

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