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電動工具の感電と巻き込まれ災害|点検と使い方の教育を整理

約6分で読めます 安全ドリル+編集部
電動工具感電巻き込まれ漏電遮断器労働安全衛生規則
電気の現場で起きる感電の場面(安全ドリル+の教材より)
電気 感電 安全ドリル+の教材より

電動工具で起きる感電・巻き込まれ災害の型と、労働安全衛生規則が定める漏電遮断・接地・回転部の防護を、死傷者数の統計とあわせて整理しました。

グラインダーやドリル、丸のこといった電動工具は、現場のあらゆる作業で日常的に使われている。使い慣れているからこそ、コードの被覆が破れていても、回転部にカバーが付いていなくても、そのまま使い続けてしまう場面がある。

この記事では、電動工具で起きる代表的な災害の型と、労働安全衛生規則が求める点検・防護の内容を整理する。

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電動工具で起きる災害の型

厚生労働省がまとめる令和7年の労働災害発生状況によると、令和7年(1〜12月)の建設業における休業4日以上の死傷災害のうち、感電によるものは43人、はさまれ・巻き込まれによるものは1,496人だった。全産業の感電による死傷者数94人のうち、建設業が43人を占めており、半数近くが建設業で発生している計算になる。死亡災害に限ると、建設業における感電による死亡者数は6人だった(出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定)」)。

電動工具に関連する災害は、大きく分けて2つの型がある。1つは、コードや工具本体の絶縁不良、漏電によって起きる感電。もう1つは、回転する刃やビットに手指や衣服の一部が巻き込まれる、はさまれ・巻き込まれである。どちらも、日常的な点検と正しい使い方の徹底で防げる余地が大きい。

コードとプラグの点検

感電災害の多くは、コードの被覆が破れて内部の導線が露出していたり、プラグの接続部が緩んでいたりすることが引き金になる。屋外の現場では、コードが水たまりや資材の下敷きになったり、車両に踏まれたりする機会も多く、屋内の作業場に比べて損傷のリスクが高い。

日常点検で確認すべき箇所は、コードの被覆に亀裂や露出がないか、プラグの刃が曲がったり緩んだりしていないか、延長コード同士の接続部が確実に固定されているか、といった点である。損傷を見つけたら、その場で補修せずに使用を中止し、交換することが基本になる。応急的にビニールテープで巻いて使い続ける対応は、絶縁性能を回復させるものではなく、リスクを見えにくくするだけである。

漏電遮断器と接地

労働安全衛生規則第333条は、電動機を有する機械や器具のうち、対地電圧が150ボルトを超える移動式・可搬式のもの、または水などで湿潤している場所や鉄板・鉄骨の上などの導電性の高い場所で使用するものについて、漏電による感電を防止するため、感電防止用漏電しゃ断装置を電路に接続しなければならないと定めている。この措置を講じることが困難な場合には、電動機械器具の金属製の外わくなどを接地して使用することが求められる(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。

さらに同規則第352条は、感電防止用漏電しゃ断装置などの電気機械器具等について、その日の使用を開始する前に点検し、異常を認めたときは直ちに補修または取り換えることを義務づけている(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。現場では、分電盤に漏電遮断器が付いていることを確認するだけでなく、その遮断器が実際に作動する状態にあるかを、テストボタンなどで日常的に点検することが求められる。

二重絶縁工具の見分け方

電動工具には、感電防止の方式として、接地(アース)を必要とする通常の工具と、二重絶縁構造によって接地を不要にした工具がある。二重絶縁の工具は、本体に二重の四角形を組み合わせたマークが表示されており、これによって見分けられる。

二重絶縁の工具であっても、内部の絶縁構造が経年劣化や衝撃によって損傷すれば、感電のリスクがなくなるわけではない。マークの有無だけで安全と判断せず、コードや本体の外観点検はどの工具でも同じように行う必要がある。

回転部への巻き込まれ

労働安全衛生規則第101条は、機械の原動機・回転軸・歯車・プーリー・ベルトなど、労働者に危険を及ぼすおそれのある部分に、覆いや囲いなどを設けなければならないと定めている(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則)。電動工具についても、回転する刃やドリルビットの周辺にカバーが付いているのは、この考え方に沿った防護である。

巻き込まれ災害は、カバーを外したまま作業を続けたり、手袋の袖口や軍手が回転部に近づいたりすることで起きる。とくに丸のこの刃が入り抜けてから回転が止まるまでの間に、手を近づけてしまうケースは繰り返し報告されている。作業がしにくいという理由でカバーを取り外して使い続ける運用は、防護そのものを無効化していることになる。

スイッチを固定する改造

現場で見られる危険な改造の一つに、スイッチを常時オンの状態でロックしてしまう工夫がある。連続して使う作業では、握力を保ち続ける負担を減らすために行われることがあるが、これは工具を離した瞬間に回転が止まるという、本来の安全機構を無効にする行為である。

工具を落としたり、意図せず接触したりした際に、スイッチが固定されていれば回転が止まらず、重大な巻き込まれ・切創につながる。作業効率を優先した改造が、本来の設計にあった安全機構を失わせていないか、貸し出す工具の状態を確認する際に見ておく必要がある。

貸出時の確認

複数の作業者が入れ替わりで使う電動工具は、貸し出し・返却のタイミングで状態を確認する仕組みがないと、損傷に気づかないまま次の人に渡ってしまう。

貸出時の確認としては、コード・プラグの外観、回転部のカバーの有無、スイッチが改造されていないかの3点を、毎回の貸し出しの際に簡単にチェックする運用が現実的である。点検を借りる側の善意に任せるのではなく、貸し出す側が最低限の状態を確認してから渡す仕組みにしておくと、劣化した工具が現場に出回り続けることを防ぎやすい。

日々の教育をどう記録に残すかは、毎日のKY活動を記録に変えるにまとめている。仮設の電気設備そのものの安全確認は、仮設電気の日常点検で扱っている。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、専門家または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。


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よくある質問

Q. コードに小さな傷がある程度でも使用を中止すべきですか

内部の導線が露出していなくても、被覆に傷がある工具は絶縁性能が低下している可能性があります。応急処置で使い続けず、交換または補修してから使用することをおすすめします。

Q. 二重絶縁の工具は接地(アース)が不要と聞きましたが本当ですか

二重絶縁構造の工具は、設計上アースを不要とするものが一般的です。ただし内部の絶縁構造が損傷していれば効果は保証されません。外観や動作の点検は、他の工具と同様に行う必要があります。

Q. 漏電遮断器が付いているかどうかは、どこで確認できますか

分電盤やコンセントの近くに設置されていることが一般的です。設置の有無や作動状況に不安がある場合は、電気工事の有資格者や現場の電気担当者に確認してください。

Q. スイッチのロック機構自体を使うことは禁止されていますか

工具に標準で備わっているロック機構の使用可否は、工具の取扱説明書に従う必要があります。ここで問題にしているのは、本来離せば止まる安全機構を無効化する改造であり、メーカーが想定していない使い方は避けるべきです。

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