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屋根の踏み抜き事故をなくす|歩ける場所を先に決める3つの手順

約6分で読めます 安全ドリル+編集部
屋根 踏み抜きスレート屋根採光板墜落防止建設業
高所の現場で起きる墜落の場面(安全ドリル+の教材より)
高所 墜落 安全ドリル+の教材より

スレート屋根や採光板の踏み抜き墜落はなぜ起きるのか。安衛則第524条をもとに、歩み板・親綱の張り方と、上がる前に済ませる3つの手順を整理しました。

屋根の上での踏み抜き事故は、毎年同じような形で起きています。スレート屋根の一部に採光板が混ざっている。断熱材の下に床のない場所がある。どちらも、下から見ればすぐに分かる危険です。それなのに、屋根に上がってからでは見分けがつかなくなります。

茨城労働局水戸労働基準監督署がまとめた特別要請によると、管内だけで10か月のあいだにスレート踏み抜きによる墜落災害が5件発生し、うち2件が死亡災害でした(出典:茨城労働局「スレート踏み抜き墜落災害撲滅のための特別要請」)。工場の屋根補修、雨樋の清掃、牛舎の屋根撤去。どれも「ちょっとした作業」のはずが、5メートルから9メートルの高さから墜落する事故になっています。

この記事では、屋根に上がる前に済ませておく3つの手順を、実際の現場でよくあるつまずき方とあわせて整理します。

屋根の危険箇所は、現場に着いてからではなく前日までに共有しておきたい情報です。安全ドリル+は、当日の工種に合わせた10秒動画を朝礼前に流し、その日の注意点を思い出させる仕組みです。

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スレート屋根の踏み抜きはなぜ繰り返すか

労働安全衛生規則第524条は、スレート・木毛板等でふかれた屋根の上で作業する場合、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれがあるときは、幅30センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等の措置を講じなければならないと定めています(出典:e-Gov法令検索 労働安全衛生規則第524条)。

条文が求める措置そのものは単純です。それでも事故が繰り返されるのは、水戸労働基準監督署が指摘するとおり、屋根の上が「地上部分が見えず、高所作業だという認識が低下しやすい場所」だからです。加えて、屋根の部材は経年劣化で強度を失っていき、比較的短時間・臨時的な作業になりやすいため、対策を省略する傾向が生まれます。工場の採光のために屋根の一部にはめ込まれた透明な樹脂パネルは、遠目にはスレート板と同じ色・同じ形に見えます。人の体重を支えるようには作られていないにもかかわらず、上に乗るまで気づけません。

手順①:上がる前に、下から位置を控える

最初にやるべきことは、屋根に上がる前に、下から採光板や劣化した部分の位置を確認しておくことです。屋根の上に立ってしまうと、樹脂パネルは埃で色がくすみ、周囲の鉄板と見分けがつかなくなります。かすかに光が透けて見える程度の違いしか残りません。

下から見上げれば、光の透け方の違いは一目で分かります。位置を控えたら、色の違うテープや目印を屋根の骨組みに付けて、上がってからも分かるようにしておきます。「見分けられるはず」という前提を、上がる前の確認で裏付けておく作業です。

手順②:歩み板を渡して「歩く道」を作る

位置が分かったら、次は歩み板です。労働安全衛生規則第524条が定める30センチメートル以上の歩み板は、屋根材の上を直接歩かないための道になります。歩み板を鉄骨や母屋の上に渡し、その上だけを歩く道として使います。

屋根材そのものは、人の体重のために作られていません。断熱材の敷設工事でも同じ問題が起きます。断熱材の下に鉄骨のない場所があると、板だけが橋のように架かった状態になり、踏んだ瞬間に沈みます。断熱材を敷く前に、床のない場所を先に囲っておくことが対策になります。隠してしまうと、その下に何があるのか誰にも見えなくなるためです。

手順③:親綱は「歩かせたい場所」に張る

親綱は、落ちたときに体を支えるためだけの道具ではありません。人は親綱をたどって歩く習性があるため、親綱を張る位置そのものが、歩く道を決めています。

採光板の上を横切るように親綱を張ってしまうと、作業者は綱をたどって危険な場所へ誘導されます。歩ませたい安全な経路に親綱を張り、その通りに歩かせることが、踏み抜き防止と墜落防止を同時に満たす配置です。親綱を張らないまま作業を始めることは、命綱を掛ける場所がないまま屋根に上がることと同じ意味になります。

採光板・断熱材という共通の落とし穴

スレート屋根の踏み抜きと、工場屋根の採光板の踏み抜き、断熱材下の踏み抜きには共通点があります。どれも「屋根材と見分けがつかない弱い部分」が、周囲と同じ見た目のまま隠れていることです。

対策も共通しています。上がる前に位置を控える、印を付ける、歩み板と親綱でその位置を避けさせる。材料を抱えて屋根の上を歩くと、足元を見ずに歩くことになり、印にすら気づけません。材料は先に屋根の上へ揚げておき、手で運ぶ距離を最小限にすることも、見落としを防ぐ手段になります。

短時間作業ほど省略される

水戸労働基準監督署の事例には、雨樋の清掃や電動工具を届けるだけの短い移動中に墜落した例が含まれています。長時間の屋根作業であれば、歩み板や親綱の準備が当然のものとして行われます。一方、数分で終わる作業では、この準備自体が「作業より長い」と感じられ、省略される心理が働きます。

しかし、踏み抜きは作業時間の長さに比例して起きるわけではありません。むしろ、準備を省略した数分間に集中しています。「すぐ終わるから」という判断を個人にゆだねている限り、同じ場面は繰り返されます。屋根に上がる作業には、時間の長短にかかわらず同じ準備を求めることを、現場のルールとして明文化しておく必要があります。

記録として何を残すか

屋根の上での作業は、当日の朝礼やKYで「今日どこに危険な箇所があるか」を確認する仕組みに乗せてこそ効果を持ちます。前日と同じ内容を繰り返すだけのKYは聞き流されやすくなりますが、屋根の危険箇所は現場ごとに変わるため、その日の情報として共有する価値があります。

安全ドリル+は、この確認を朝礼前の1分半に組み込む形で作りました。QRを読むと当日の工種に合わせた10秒動画が流れ、危険な箇所を探す3択に答える形式です。5本の動画のあと、最後の1問だけが氏名・所属会社つきの記名テストになり、監督者はCSV・PDFで記録を出力できます。日々のKY活動を記録として積み上げる考え方は、毎日のKY活動を記録に変えるで整理している。


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よくある質問

Q. 歩み板の幅はどのくらい必要ですか

労働安全衛生規則第524条は、幅30センチメートル以上の歩み板を設けることを求めています。あわせて防網を張るなど、踏み抜きによる危険を防止する措置が必要です。

Q. 採光板は下から見れば必ず分かりますか

多くの場合、光の透け方の違いで見分けられます。ただし埃や汚れで判別しにくいこともあるため、確認した位置には色の違うテープなどで目印を付けておくと確実です。

Q. 断熱材を敷く作業ではどこに注意すればよいですか

断熱材の下に鉄骨のない場所があると、板だけが橋のように架かった状態になります。敷設前に床のない箇所を確認し、囲ってから作業に入ることが対策になります。

Q. 短時間で終わる屋根作業でも歩み板は必要ですか

作業時間の長さにかかわらず、踏み抜きの危険があれば同じ措置が必要です。短時間だからと省略する判断を個人にゆだねないことが、繰り返しを防ぐ歯止めになります。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。

まとめ

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