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是正勧告を受けたら何をするか|報告書の書き方と再発防止の示し方

約8分で読めます 安全ドリル+編集部
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共通の現場で起きる飛来の場面(安全ドリル+の教材より)
安全ドリル+の教材より

労働基準監督署から是正勧告を受けた際の対応手順と、是正報告書に書くべき事項、再発防止の示し方を整理します。

「是正勧告書を受け取った。期限までに何を出せばいいのか分からない」。建設現場の安全担当者から、こう相談されることがある。慣れていない担当者ほど、まず何から手をつければよいのか分からず、時間だけが過ぎていく。

労働基準監督署の臨検監督で法令違反が見つかると、是正勧告書が交付される。行政指導であり、その場で罰則が科されるわけではない。しかし放置すれば、繰り返しの違反や虚偽の報告として、より重い対応につながりうる。

この記事では、是正勧告を受けてから是正報告書を提出するまでの流れと、報告書に書くべき要素、再発防止の示し方を整理する。

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是正勧告書と指導票、使用停止等命令書の違い

労働基準監督官は臨検監督の結果に応じて、性質の異なる3種類の文書を交付する。

文書交付される場面法的性質
指導票法令違反とまでは言えないが、改善が望ましいと判断した場合行政指導。強制力はない
是正勧告書労働基準関係法令の違反が認められた場合行政指導。強制力はないが、放置は重い対応につながりうる
使用停止等命令書危険な設備・作業方法をただちに止めさせる必要がある場合行政処分。法的拘束力を持つ

指導票と是正勧告書はどちらも行政指導であり、その場での罰則はない。決定的な違いは、法令違反の有無である。是正勧告書は違反の事実を前提に交付されるため、指導票より重く受け止める必要がある。現場でよく起きる誤解は、この3つを「重さの違う警告」程度に一括りにしてしまうことである。指導票への対応を後回しにしても大きな問題にならないが、是正勧告書を同じ感覚で後回しにすると、次の臨検で「前回の指摘が放置されている」という悪い心証につながる。

使用停止等命令書はこの2つと性質が異なる。命令に従わない場合、労働安全衛生法に基づき6か月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象となりうる。現場の設備や作業を直ちに止めさせる行政処分であり、報告書のやり取りで済む段階ではない。

是正勧告そのものに直接の罰則規定はない。ただし、虚偽の是正報告をした場合や、繰り返し是正しない悪質なケースでは、違反している法令に基づいて検察庁への書類送検に発展する可能性がある。労働基準法第101条は、労働基準監督官が事業場に臨検し、帳簿・書類の提出を求め、または尋問を行う権限を定めている(出典:e-Gov法令検索 労働基準法)。この権限に基づく調査の結果として、是正勧告は交付される。

3つの文書のうち、どれが交付されるかは、現場の担当者が事前にコントロールできるものではない。ただし、日ごろから法令違反にあたる状態を放置していないかどうかが、指導票で済むか、是正勧告書に至るかの分かれ目になる。臨検の当日に慌てて取り繕おうとしても、監督官は書類の作成日付や整合性を確認するため、直前に作られた記録であることは見抜かれやすい。

受け取ってから期限までにやること

是正勧告書には、違反事項とあわせて是正期日が記載されている。この期日までに是正を終え、是正報告書を提出するのが基本の流れになる。

まず着手すべきは、指摘された違反事項を1つずつ確認し、誰が・いつまでに・何をするかを決めることである。複数の指摘があるときは、危険性の高いものから着手する。安全帯の未着用と、休憩室の照度不足が同時に指摘されるようなケースでは、人命に直結する前者を優先して着手し、後者は並行して進める、という優先順位づけが実務上は現実的である。

是正に時間がかかる事情がある場合、期日を過ぎてから連絡するのは避けたい。期日が来る前に、担当した労働基準監督官へ電話などで連絡し、事情を正直に説明したうえで、期限の延長について相談するのが現実的な対応になる。連絡なく期日を過ぎることは、対応の姿勢そのものを疑われる要因になりうる。

是正報告書に書く4つの要素

是正報告書は、指摘された違反事項について、是正または改善した状況を労働基準監督署へ報告する書類である。記載すべき要素は次の4つに整理できる。

  1. 違反法条項 是正勧告書に記載された、違反している法令の条項をそのまま転記する
  2. 是正年月日 実際に是正を行った年月日。着手日ではなく、完了した日を書く
  3. 是正内容 何を・いつ・どのように行ったかを、客観的な事実として具体的に書く
  4. 添付資料 是正した事実を裏づける写真・記録・書類

是正内容の書き方でつまずく担当者は多い。「タイムカードを導入し、労働時間を適正に把握した」「不足額◯◯円を◯月◯日に支払った」のように、実際に行ったことを事実として書く。違反に至った経緯の説明や言い訳は求められていない。

なお、是正報告書そのものに再発防止策の記載までは必須とされていない。ただし、労働基準監督官との今後のやり取りや、同種の指摘を繰り返さないことを考えると、是正内容とあわせて再発防止の取り組みを添えておく実務上の価値は大きい。

複数の違反事項が1通の是正勧告書にまとめて記載されている場合、報告書側もそれぞれの事項ごとに区切って記載する必要がある。1つの報告書に全ての是正内容をまとめて書いてしまうと、どの指摘に対する対応かが監督官に伝わりにくくなる。指摘事項の番号や条文をそのまま見出しとして使い、対応関係を明確にしておくと、確認する側の負担も減る。

「教育を実施した」をどう示すか

安全衛生教育に関する指摘の是正報告では、「教育を実施した」という事実をどう示すかが焦点になりやすい。

口頭での実施報告だけでは、いつ・誰に・何を教育したかが伝わらない。実施日・対象者・教育内容が記録として残っていれば、是正報告書の添付資料としてそのまま使える。

紙の受講記録を都度作成している現場では、この記録をとりまとめる作業自体に時間がかかる。是正期日が数週間しかないなかで、過去の朝礼記録を1枚ずつ探し出し、対象者の氏名を突き合わせる作業に追われる担当者も多い。日々の教育実施を記名で記録する仕組みがあれば、是正報告の段階であらためて証跡を作り直す手間は生じない。

ここで注意したいのは、こうした記録が持つ意味の範囲である。日常の安全教育を実施した補助的な証跡にはなるが、それ自体が法令上の義務を自動的に満たすものではない。教育の内容が指摘事項に対応しているかどうかは、担当者が個別に確認する必要がある。

再発防止をどう伝えるか

再発防止の示し方は、抽象的な決意表明では伝わらない。「今後は気をつける」ではなく、仕組みとして何を変えたかを示す必要がある。

効果的な伝え方には共通点がある。

「教育を毎日実施する」と書くだけでは、翌月には形骸化しかねない。実施した記録が積み上がる仕組みまで含めて示すことで、監督官に対しても、社内の再発防止としても説得力が増す。厚生労働省が公表する労働基準行政の概要でも、監督指導の結果として是正がなされたかどうかを継続的に確認していく姿勢が前提とされている(出典:厚生労働省「労働基準行政の概要」)。

同じ指摘を繰り返さないための記録

同じ現場、あるいは別の現場で同種の指摘を繰り返すと、監督官の心証は確実に悪化する。臨検のたびに慌てて記録を集める状態では、この繰り返しを断ち切りにくい。

複数の現場を掛け持ちする所長ほど、この繰り返しは起きやすい。ある現場で受けた指摘への対応を、別の現場に横展開できていないと、同じ理由で別の現場が指摘を受けることになる。

日々の教育実施や安全確認の記録が、現場を横断してその場で残る仕組みがあると、次に臨検を受けたときにも慌てずに済む。過去の是正内容と、その後の実施状況を突き合わせて示せることは、監督官とのやり取りにおいても現場の姿勢を示す材料になる。

是正の履歴を現場ごとにばらばらに管理していると、本社側が全社の傾向をつかめない。どの現場で・どんな指摘が・何回続いているかを一覧で把握できる状態にしておくと、次に同じ指摘を受けそうな現場を先回りして点検する、という予防的な動きにもつなげやすい。

本記事は一般的な参考情報であり、法的・専門的な助言を提供するものではありません。法令の解釈・適用や個別事案への対応は、社会保険労務士等の専門家、または所轄の労働基準監督署にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。

まとめ

日々の安全教育を実施した記録を残すところは、毎日のKY活動を記録に変えるで整理している。


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よくある質問

Q. 是正勧告に従わないとどうなりますか

是正勧告そのものに直接の罰則規定はありません。ただし、虚偽の報告をした場合や、繰り返し是正しない悪質なケースでは、違反している法令に基づいて検察庁への書類送検に発展する可能性があります。

Q. 期限までに是正が終わらない場合はどうすればよいですか

期日が来る前に、担当した労働基準監督官へ連絡し、事情を説明したうえで期限の延長を相談することが現実的な対応です。期日を過ぎてから連絡することは避けてください。

Q. 是正報告書に再発防止策を書く必要はありますか

是正報告書そのものへの記載は必須とされていません。ただし、同種の指摘を繰り返さないためには、再発防止の取り組みをあわせて示しておく実務上の価値があります。

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