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KYT4ラウンド法のやり方|イラストシートで限界が来る場面

約7分で読めます 安全ドリル+編集部
KYT危険予知訓練4ラウンド法イラストシート建設業
共通の現場で起きる熱中症の場面(安全ドリル+の教材より)
安全ドリル+の教材より

危険予知訓練(KYT)の標準的な進め方である4ラウンド法の手順と、イラストシートを使い続けたときに現れる限界を整理します。

「イラストシートを使ったKYT、最近ちゃんとやっていますか」。現場からこう聞かれて言葉に詰まる安全担当者は多いはずである。

KYT(危険予知訓練)は、危険予知活動を体系立てて訓練するための手法である。その標準的な進め方として知られるのが「4ラウンド法」である。

本稿では、KYT4ラウンド法の具体的なやり方と、イラストシートで運用したときに限界が来る場面を整理する。

KYT4ラウンド法は、危険の発見から行動目標の設定までを4段階で進める手法である。イラストシートはその教材の一つにすぎない。

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KYT4ラウンド法とは

KYT4ラウンド法とは、危険予知訓練を「現状把握」「本質追究」「対策樹立」「目標設定」の4段階で進める標準的な手法をいう。

原型は1970年代、旧住友金属工業(現・日本製鉄)で生まれたとされる。海外の安全教育のイラストがヒントになったと伝えられる(出典:tebiki、2026年時点)。これに中央労働災害防止協会(中災防)が「4ラウンド法」を組み合わせた。1978年、「KYT基礎4ラウンド法」として体系化したとされる。

中災防は現在も、KYTをゼロ災運動の中核的な手法と位置づける(出典:中央労働災害防止協会、2026年時点)。名称は「危険(K)」「予知(Y)」「トレーニング(T)」の頭文字から取られている。

各ラウンドの中身

4ラウンド法は、次の順序で進む。

ラウンド名称やること
第1ラウンド現状把握イラストや現場に潜む危険要因を洗い出す
第2ラウンド本質追究洗い出した危険の中から、とくに重要なものを絞り込む
第3ラウンド対策樹立絞り込んだ危険への具体的な対策案を出す
第4ラウンド目標設定対策の中からチームの行動目標を1つに決め、指差し唱和で確認する

実施は3〜5人程度の小集団で行うことが一般的とされる。1テーマの所要時間は10〜30分程度である。司会進行役と書記を1人ずつ決めて進める(出典:sat-co.info、2026年時点)。

現状把握では「絵の中にどんな危険が潜んでいるか」を自由に出し合う。本質追究では、出た危険の中から重大なものに丸をつけ、絞り込む。対策樹立では、絞り込んだ危険に対する具体的な行動を考える。目標設定では、対策の中から最終的にチームで実行する1つを選び、指差し唱和で締めくくる。

各ラウンドには、進める上での勘所がある。現状把握では、批判せずに出し合うことが重要になる。「その指摘は違う」と否定してしまうと、以降の発言が減っていく。本質追究では、絞り込む数を2〜3個程度に抑えると、対策樹立の議論が拡散しにくい。目標設定で選ぶ行動目標は、抽象的な標語ではなく「〜するとき、〜を〜する」という具体的な行動にすることが望ましい。

イラストシートの作り方

イラストシートとは、作業現場を模した場面を描き、複数の危険要因を意図的に描き込んだ教材をいう。

市販のイラストシート集を使う方法と、自社の現場を撮影・作画して独自に作る方法がある。中災防をはじめとする団体が、業種別のイラストシート集を提供している。

自社で作る場合は、次の点を押さえる。

イラストシートは「正解のない教材」として設計されている。話し合いの過程そのものが訓練の価値になる。

作成には時間もかかる。実際の作業姿勢を正確に描くには、現場の写真をもとにイラストレーターへ発注するか、担当者自身が撮影・作画する必要がある。1枚のシートを仕上げるまでに数週間かかる例も珍しくない。頻繁に更新するには相応の体制が要る。

限界1 絵が現場と違う

絵が現場と違うとは、イラストシートに描かれた場面が、実際の作業環境や設備と一致しない状態をいう。

市販のイラストシートは汎用性を優先して作られている。特定の現場の配管配置、足場の組み方、使用機材とは異なることが多い。

参加者が「うちの現場とは違う」と感じた瞬間、話し合いへの当事者意識は下がる。絵の中の危険を指摘しても、自分の作業に置き換えて考える動きにつながりにくい。

とくに影響が大きいのが、業種混在の現場である。土木のイラストシートを使って建築現場の作業員が話し合っても、足場の形式や重機の種類が違えば、指摘できる危険の幅が狭まる。汎用シートは「誰にでも当てはまる」ことを狙う教材である。裏を返せば「誰にとっても自分ごとになりにくい」教材にもなり得る。

限界2 時間がかかる

時間がかかるとは、4ラウンドを丁寧に進めると、1テーマで10〜30分を要する構造上の制約をいう。

朝礼前の数分にこの時間を組み込むのは難しい。結果として、KYT4ラウンド法は月次の安全大会や特別教育の場でのみ実施されることが多い。日常の朝礼では、簡略化された「一言KY」で代替される。

簡略化そのものは悪くない。ただし簡略化の過程で、危険の絞り込みや対策の吟味という4ラウンド法の核心部分が抜け落ちやすい。「今日も気をつけましょう」という一言で終わる朝礼は、この簡略化が行き着いた先の姿である。

限界3 参加者が固定化する

参加者が固定化するとは、司会進行役や発言者が毎回同じ顔ぶれになり、他のメンバーが受け身になる状態をいう。

小集団で進める性質上、声の大きい人や経験の長い人が主導しやすい。若手や新規入場者は、発言せずに聞いているだけで終わることがある。

この状態が続くと、KYTが本来目指す姿から外れていく。KYTの目的は、参加者全員が危険を「自分ごと」として考えることにある(出典:中央労働災害防止協会、2026年時点)。

短い動画に置き換えるとどうなるか

短い動画に置き換えるとは、イラストシートが担ってきた発見用の題材を、実際の作業映像に近い短尺動画に差し替える運用をいう。

動画は、絵より実際の作業環境に近い情報量を持つ。姿勢・距離感・周囲の状況まで再現できるため、「うちの現場とは違う」という距離感が縮まる。動画で災害の発生状況を再現し、KY活動の精度が上がった企業の例も報告されている(出典:フジアルテ、2026年時点)。

一方で、4ラウンド法の全工程を毎日の朝礼で回すのは現実的ではない。時間の制約は、動画に置き換えても変わらない。

安全ドリル+は、この時間の制約に対応するため、4ラウンド法の考え方を圧縮した構成を取っている。10秒の縦型動画を見て、そこに潜む危険を3択から選ぶ形である。現状把握と対策の選択を1つの動作にまとめている。当日の工種に合わせて動画の内容が変わるため、絵が現場と違うという問題も起きにくい。

月次の安全大会では、時間をかけたKYT4ラウンド法を実施する。日々の朝礼では、短時間で終わる問いかけに置き換える。この使い分けが、限界を補う現実的な線になる。

4ラウンド法と毎日の短い問いかけをどう併用するかは、毎日のKY活動を記録に変えるを参照してほしい。

まとめ

KYTと合わせて活用できる姉妹サービスを紹介する。

サービス何ができるか
安全ドリル+QRを読むだけで10秒動画×5本と記名テストが朝礼前の1分半で終わる
安全ポスト+現場のヒヤリハットをQRから匿名・記名で投稿・集計できる
AnzenAI現場の安全書類作成・管理をAIが支援する
know-howAI現場のノウハウ・作業手順をナレッジとして蓄積する

安全ドリル+は、月次のKYT4ラウンド法を補う日々の教材になる。

なお、ヒヤリハットの収集は姉妹アプリの安全ポスト+が担う。現場と組織の登録は2つのアプリで共有している。


実際の画面を1分半で試す

QRを読むと10秒の映像が5本流れ、最後の1問だけが記名の記録として残ります。 アプリのインストールもログインも要りません。


よくある質問

Q. KYT4ラウンド法は建設業以外でも使えますか

製造業・運輸業など、業種を問わず使われている。イラストシートも業種別に用意されている。

Q. 4ラウンドすべてを毎回やる必要がありますか

可能であれば全ラウンドを実施することが望ましい。時間が取れない場合は、現状把握と対策樹立の2段階に絞る運用も見られる。

Q. 指差し唱和は省略してもよいですか

指差し唱和は目標設定の締めくくりとして位置づけられている。省略すると、行動目標への意識づけが弱まる。

Q. イラストシートは自作と市販、どちらがよいですか

自社の現場に近い危険を扱いたい場合は自作が効果的である。準備の手間を抑えたい場合は、市販のシート集から選ぶ方法もある。

Q. KYT4ラウンド法と日々のKY活動は、どう使い分ければよいですか

時間をかけて議論を深めたい場面ではKYT4ラウンド法、朝礼前の短い時間では簡略化した問いかけという使い分けが現実的である。両方を同じ頻度で回そうとすると、どちらかが形だけになりやすい。

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